病院のショートショート

スライド1

 

こんにちは、今井です。

昔の資料を整理してたら、
中高生の頃に書いた小説が出て来ました。

当時はショートショートが好きで、
マネ事で書いておりました。

というわけで、今日は1つ掲載します。

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内木は病院に来ていた。
どうも風邪をひいたらしいのだ。

鼻水をすすりながら待合室で呼ばれる
のを待っていた。

ふいに自分の名前が呼ばれ、彼は診察室
に入って行った。

そこには黒ぶちで度のきつそうな眼鏡を
かけた医者がいた。

「どうしました?」

内木は鼻水をすすりながら答えた。

「どうも頭が痛くて、鼻水が止まらなくて、
悪寒もするし・・・」

「熱は?」

「ありました。8度5分です」

「それは、もしかしたら今流行の伝染病
かも知れませんなぁ」

内木は驚いて「えっ」と声を出した。

「まぁ、上を脱いでください」

内木は不安だったが言われるがままに
服を脱いだ。医者は聴診器を当てた。

「ふむふむ。これは命にかかわりますなぁ
危ないですぞ」

「そ、そんなぁ。ただの風邪だと
思っていたのに・・・」

「風邪?そうですなぁ、風邪と言うことに
しても良いのですが・・・」

「は?どう言うことですか?」

「あなたが風邪だということにするのです。
今の医療技術ならそれぐらいできますよ。

同時にあなたの記憶も消して、病院に来て
ただの風邪だと言われたという記憶を
新しく植え付けることもできます。

しかしですなぁ、少しお金がかかりますぞ」

医者はニヤッとして歯を見せた。

内木はそうしてくれと頼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

内木は家に帰った。
そして妻に病院での事を話した。

妻は半信半疑だったが、
彼の真剣な顔に信じるしかなかった。

彼はすぐお金を持って病院に引き返した。
医者の言った金額には足りなかった。

医者は「まぁ良いでしょう」と言い、
お金を受け取ると、彼を箱のような機械
の中に入れた。治療の機械だそうだ。

彼は心の中で「ああ、良かった」と
つぶやいた。

機会が動き出したらしい。彼は眠たくなって、
そして、、、眠った。

ふと気が付くと、自分の部屋のベッドだった。
その横には妻がいた。そして言った。

「ああ、良かった。目が覚めたのね。

公園に倒れていたのを誰かが通報
してくれたよの。

あなた騙されたのよ。
警察に聞いたら詐欺だったって。

ただの風邪だったんですって」

そうか、騙されていたのか。
くそう、あの医者め。

彼は悔しかった。
でも、どうすることもできなかった。

なぜなら、自分がどこの病院に行ったのかを
覚えていなかったからだ。
その記憶だけがどうも消えている。

ただの風邪で、あんな大金を取られるなんて、
本当に悔しい。

<終わり>

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