こんにちは、今井です。
「審判のいないスタジアム」
(フィクション)です。
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プロ野球から審判が消えて、
もう何年も経つ。
今は機械がストライク、ボールを
判定してくれる。
フェアとファールも、
そして、セーフ、アウトの判定もだ。
画像処理技術の高度化によって、
これが実現できた。
タッチの判定のために、
センサー入りのユニフォームが
採用されることになった。
これでプロ野球界は人が減って、
経費削減ができたと思った。
しかし、そうはいかなかった。
余計にコストが増えているのだ。
オレへのフィーもそのコストだ。
この試合の間、オレは監視をし続けている。
何を監視しているのか?
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判定システムに不正アクセスしてくる
ハッカーたちの監視だ。
人間の審判が消えてからすぐ、
システムに入り込む事件が相次いだ。
ハッカーたちは判定システムを狂わせて、
自分の思い通りに操る。
一度などは、明らかなファールが
ホームランと判定され、試合がひっくり返る
ということもあった。
「システムの判定が絶対」
というルールだったため、
誰もがおかしいと分かっていても、
どうすることもできなかった。
あの時は、世界的な賭博グループが
関与していたみたいだ。
最近では、システム運用会社が、
不正を行っていたことが暴かれて
摘発された。
お金を払った選手だけは、
ストライクゾーンの判定が有利になる
細工をしていたのだ。
不正が後を絶たない現実を見ると、
人間社会には審判が必要なのだろうと思う。
(おわり)
(今井)