安楽死ハーブ

スライド1

 

こんにちは、今井です。

 

今回はフィクションです。

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実は、最近、
「安楽死ハーブ」
というやつが、闇で売られている。

人生がイヤになった、
長生きするのが怖い、
という人間が買って行くそうだ。

実は、かくいうオレも、
新宿でこれを手に入れた。

40歳近くなって彼女もいない、
出世の見込みもない。

そもそも吹けば飛びそうな
小さな会社のヒラ社員だしな。

このハーブの良いところは、
「安楽死」というだけあって、
苦しまなくて良いところ。

そして、
誰にも迷惑が掛からないところだ。

突発的な病気として診断される。
家族に保険金もおりる。

これを飲んで、こんな人生とも
オサラバだと思うと、
せいせいしてきた。

久しぶりだな、
こんなに清々しい気分は。

せっかくだから、
死ぬ前に好きな事をしよう。

そうだ、会社の会議で
好き勝手に言ってやろう。

ガマンしてたけど、
上司をボロクソに言ってやる。

次の日、いつもの定例会議で、
オレは言いたい事をぶちまけた。

言ってやった!

死ぬ前に、好き放題にぜんぶ
言い散らかした。

ん・・・

なんだ?

思った反応と違うぞ。

「たまには良い事を言うな」

とか、なんだよ、褒めるなよ、
気持ち悪いな。

えっ、なに?

次のプロジェクトリーダーを
やってみないかって?

まあ、死ぬ前に1回ぐらい、
やっておこうか。

失敗したって知らないからな。

好き勝手にやらせてもらう。

そうだ、オンナにも縁がなかったな。

どうせ死ぬんだから、アイツをデートに
誘ってみるか。

「死ぬんだから」とか言いつつ、
そんなに強引じゃないところが、
オレの良いところだな。

相手にされなくてもいいさ。

フラれたらこれでスッキリして、
あのハーブを使える。

メッセージを送って、
駅近くのカフェに誘ったら、来るって。

へぇ、そんなもんか。

カフェに着いたらアイツが先に来てた。

どうせ死ぬんだから、
単刀直入に付き合ってくれって言ったら、
あっさりOKだと。

なんだ、せっかく死のうと思ってたのに、
ややこしいやつだな。

まぁ、いいや。

死ぬまでの間、
ちょっとは恋愛とやらを
満喫するとするか。

ああ、なんやかんやしてたら、
1年経ってしまった。

プロジェクトも好き勝手にやってたら、
面白がってみんなが前のめりだ。

なんか、クライアントも、
不思議と喜んでやがる。

死ぬ前に良い仕事ができそうだ。
気分よくあの世に行けるな。

そりゃ、いろいろ悪口を言う奴もいるし、
気の合わない人間も多いよ。

でも、気が向いたら明日にでも死ぬ、
と思ってるから、どうでもいいわな。

あいつら、オレが死ぬと知ってて
あんなこと言うのかねぇ。

ま、相手にしない、しない。

あれから3年、
ヘッドハンティングされて、
ちょっと大きな会社に移った。

まぁ、死ぬ前に良い経験だと思って、
やってみることにしたんだが、、、

これまた、どうせ死ぬからと、
面白おかしい提案ばっかりしたら、
なんだかウケている。

5年経った。

死ぬ前に結婚というやつを
経験しておこうと思ったが、
さらに親にまでなるとは。

いちおう保険金は多めにかけておいた。
死んだらそれで何とかしてくれ。

親はなくても子は育つ、
って言うからな。

どうにかなるだろ。

仕事とか子育てとか、
めんどくさくなったら死のう。

あとちょっとは面白そうだから、
いろいろやっておくが。

そんなこんなで10年か。

好き勝手やってきたけど、
案外イヤなことをやらなくて
生きていけるもんだな。

その方が周りの反応も良いしな。

さて、明日は死ぬかな?

まぁ、今日はオモロイ事して
満喫しよう。

どうせ死ぬんだから。

<おしまい>