世界は間違ってる?

スライド1

 

こんにちは、今井です。

ある活動家の話しです。
(フィクション)

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私はネットを通じて、世界にはたくさんの
社会問題があることを知った。

そして、苛立ちを感じていた。

「なぜ、こんなに苦しんでいる人が!?」

「自分だけ幸せで良いのか?」

「こんな世の中、間違っている!!」

ネットを検索して、
「自分にもできることがある!」
ことに気づいた。

大学2年生のころから、
たくさんの学生団体に所属し、
先輩から学んだ。

いろんなボランティア活動にも参加して、
海外のスタディツアーにも行った。

政治家が行うタウンミーティングにも
参加してみた。

いろんな社会起業家の討論会にも参加した。

しかし、、、

まったくダメだ。

今の大人たちは、何もやっていない。
どうして社会問題を放置していられるのか?

憤りしか感じなかった。

ある討論会で、私は挙手をした。

立ち上がり、マイクを通して宣言をした。

「そろそろ、こんな世界を

変える時期が来たんじゃないでしょうか?

大人には任せてられません

私がやります!」

と。

誰かが世直しをしなければならない。

やる人がいないなら、自分がやるしかない。

それから10年。

私が立ち上げた団体は、人数は少ないが、
地道な活動をしてきた。

自分が思っているより状況を変えるのは
簡単じゃないと分かった。

一方で、世の中はそんなに悪くない
ということにも気づいた。

そして、社会問題は着実に解決して
行っている。

変わっていないように見えて、
少しずつ良くなっているのだ。

マスコミは相変わらず、問題を見つけては
大きく報道している。

同情が集まれば、私たちみたいな団体にも
寄付が集まるので悪くはない。

一方で、今までの成果がまったく報道され
ないことは、すこし歯がゆく思う。

そうだ、討論会をやろう!

私が学生時代に参加したような、
それよりもっとスゴイものをやろう。

そこで、今までの成果を発表しよう。

世界は着実に良くなっていることを
みんなに見せてあげよう。

そして、活動してくれる仲間を増やそう。

当日、300人の会場に来たのは、
50人たらずだった。

そんなものだろう。

意識の高い学生がたくさん来ている。

私も、その昔は「意識高い系」と
バカにされたものだ。

懐かしくなった。

この日のために準備してきたスライド
を写して、話を始めた。

こんなに悲惨な状況も、
少しずつ良くなっている。

みんな、知ってほしい。
頑張って活動している人がいることを。

少しずつでも世界は良くなっていることを。

そして力を貸して欲しい。
仲間になって一緒にもっと良くして行こう。

質疑応答の時間になった。

どんな感想が聞けるか楽しみだ。

4人の質疑応答は、そつなく終わった。

5人目の学生の顔は少し苛立っていた。

そしてこう言った。

「正直ガッカリしました。

そんなやり方じゃ、
世の中は変わらないと思います。

そろそろ、こんな世界を
変える時期が来たんじゃないですか?

大人は何をやってるんですか?

誰も何もしないんだったら、
世界は滅ぶと思います。

決めました、私がやります!」

10年経っても、こんな子が現れるんだ。

きっともっと良い世の中になるに違いない。

そして、世界のために活動してきた
たくさんの先人に、改めて感謝できた。

おわり。

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